米国会計業界には、なぜ「顧問料の価格破壊」が起きなかったのか?(後編)
みなさん、こんにちは。
前回、アメリカの会計事務所で
価格破壊が起こらなかったことについてお話ししました。
今回は、その続きをお話しします。
価値のある仕事って何でしょうか?
起業する人たちを相手にしていった場合、
何が価値になるのでしょうか?
税務申告と記帳代行は現実的には誰が行っても、そんなに大きく変わりません。
では何に価値を感じるのでしょうか?
社員10人未満の経営者は何に困っていると思いますか?
請求書を出したり、売掛金の管理をしたり、仕入管理をする。
あるいはいろんな経費の処理。
これら一連の経理作業はすべて面倒です。
全部アウトソーシングできたら、
こんな楽なことはないと思います。
実はアメリカでは、この業務を会計事務所が担当しているのです。
これらの作業の中で、
経営者がアウトソーシングできないことは、
どこに対していくら請求をするかという判断と、
送られてきた請求書を払っていいかの意思決定です。
ここだけは経営者が判断しますが、
それ以外は会計事務所が代行できるのです。
このような価値ある仕事を会計事務所が担うようになれば、
「一気通貫」のシステムになると、
大前研一氏は『月刊シリエズ』1999年2月号のインタビューでお話ししています。
かつてインテュイット社のQuickenが日本に入ってきたことがあります。
インテュイットは「弥生」と「大番頭」を吸収し、
Quickbooksと「弥生」を売り始めました。
しかし、インフラの整備がうまくいかず、
せっかくの優れたシステムでも日本では普及しなかったのです。
ここで、日本の税理士先生方に理解していただきたいのです。
日本の会計ソフトはどうやって伸びたのか?
それは、税理士の好み通りのソフトをつくってきたから伸びたのです。
「貸方、借方を入力し、前処理は全部あなた方がやりなさいよ」
という具合に。
そして、後処理の会計業務つまり、
税務申告に合うための経理を押し付けてきたのかもしれません。
そうして、会計事務所は月次巡回として
顧問先を訪問します。
「消費税が間違っています」
「領収書のここがおかしい」
など、経営上今月やる必要のないかもしれないことを行いました。
つまり、これは経営のサポートではなく、税務監査だったのです。
アメリカでも税務の仕事の価格は急落の一途です。
H&Rブロックに代表されるように、薄利多売なのです。
H&Rブロックは個人事業主というよりは、
年収500万円前後かそれより低収入の個人を対象にしています。
アメリカでは税務申告業務は日用品と同じで、
価値ある会計事務所の競争材料になっていないのです。
「では付加価値を与えましょう」ということで
行ったのが、経営計画です。
しかし、経営計画を行うことで
会社が一気通貫で伸びたのでしょうか。
中には経営計画を「無料サービスでやっています」
という事務所もあります。
“無料”=価値がないとは言いませんが、
競争力がないということです。
価値のあるものには、社長はしっかりお金を払います。
アメリカの会計事務所は、1億円以下の小規模事業者に対して、
本当に必要な”経理サポート”を行い、それが根付いて、
月額10万~40万円の仕事を受注していました。
そしてクラウドによって、この仕事をますます”金の成る木”に変化させていました。
恐らく2年から3年で、クラウドによって
会計事務所のビジネスモデルが大きく変化するでしょう。
先週、アメリカでたくさんのCPAに会い、未来を確信いたしました。
つまり、そこに会計事務所と顧問先の未来があるということを。
この「未来」について、みなさんへお伝えすると共に
みなさんと一緒に考えてみたいと思います。
2014年11月11日の火曜日、東京の品川で
「第3回 会計事務所のビジョナリーサミット2014」
を開催いたします。
アメリカからCPAをお招きし、
会計事務所の「クラウド革命」について
お話しいただきます。
200名近い税理士の先生たちが集まって
新しいビジネスモデル、働き方
コミュニケーションなど
会計事務所の「未来」について
一緒にお話しできたら、と考えています。
ぜひ、ご参加ください。
詳細情報をお送りいたしますので
ご希望の方は下記よりお問い合わせください。
「第3回 会計事務所のビジョナリーサミット2014」の
詳細を希望する
頭の中に、税金のかからない”情報”を
たくさん詰め込んできた、ひろせでした。
今回のコラムでご紹介しています |