資産は津波で流されても、負債は津波でも流されない

2011年04月13日

皆さん、こんにちは。広瀬です。

先月16日、大震災が発生した翌週のメルマガで
当社のFANアライアンス会員である
仙台市の椎木秀行先生からのメールをご紹介しました。
(こちらからご覧いただけます)

記事にある「東日本大震災せんだいビジネス復興センター」は、
「宮城せんだいビジネス復興支援センター」として実際に開設され、
被災地の経営者に向けて、オフィススペースの無料提供や、
情報発信を行っています。

椎木先生の復興に対する強い思いがつづられた、
ご本人の文章を、ここでご紹介したいと思います。

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宮城県仙台市から全国の経営者へ
「地震と津波で流されなかった3つのモノ」

2011年3月11日14:46、突然、床が突き上げるような揺れを感じました。
東北関東大震災の発生です。
その後の被害の状況は、報道のとおりですが、
2011年3月31日現在、死者数11,362人、行方不明者16,290人、
今後さらに増えることが見込まれている状況です。
16年前の阪神・淡路大震災と比較しても、
史上類を見ない大災害となりました。

幸いにも生きながらえた私は、
その後、さらなる惨状を目にする事になりました。
それは、事業継続が困難なほどに、打ちのめされた経営者達の相談です。
大切な家族や従業員を亡くしてしまった社長、
社屋が跡形もなく流されてしまった社長、
生産場所と取引先を失った社長など、
直接的な被害に見舞われ、事業再開の
目処が立たない経営者が多いのは想像に難くないと思われます。

しかし、被害はそれだけにとどまりません。
直接的な被害にあわなかった経営者も、
売掛金が回収できなくなった社長、
ガスが復旧するまで数ヶ月も営業ができない飲食店経営者、
テナントが営業できないので
賃料を受け取ることができないビルオーナーなど、
半年から1年間の売上の目処が立たない経営者など、
間接的被害に苦しむ社長が相当数いるのです。

そのような社長の多くの相談を受ける中で、気付いたことを
「地震と津波で流されない3つのモノ」と題してお伝えしたいと思います。

1. 資産は津波で流され、負債は津波でも流されない

今回の地震及び津波では、建物、機械、棚卸資産など、
ほとんどすべての資産が流されてしまいました。
しかし、流されなかったものがあります。それは負債です。
長年積み重ねてきた内部留保により構築した資産は、
津波に対して無力でした。
しかし、借入金、買掛金、リース債務は、
非情なほど無傷で存在しています。
今まで健全な経営をしていた会社ですら、
一瞬にして債務超過に陥るのです。

2. 生命保険は、経営危機時の防波堤

「地震や津波で、流されなかった資産はなかったのだろうか?」
少し考えてみました。それこそ、まさに、生命保険ではないでしょうか。
死亡保険は無論のこと、生き残った経営者にとって、
救いの一手となっているのが、解約返戻金のある生命保険契約です。
契約の時は、渋々契約した経営者でも、
今回の震災では、「この生命保険があって助かった」との声を聞いています。
震災後の、損害の補填、資金繰りの悪化に対して、強い力を発揮しています。
大切なデータをクラウド上に保存していた多くの会社が、
被害を最小限に留めたのと同様、
社外に資産を積み立てることができる生命保険は、
「防潮堤」ならぬ「経営危機時の防波堤」と言えるのではないでしょうか。

3. 信用と絆(KIZUNA)

生命保険以外で、津波に流されなかった資産があるとすれば、
それは「信用」と「絆」と言えるのではないでしょうか。
本社社屋を流された経営者に、
金融機関の支店長は、無条件で融資を決定しました。
また、ある経営者には取引先から、多くの支援が寄せられています。
そして、地域の絆、地域外の仲間との絆によって、
我々、被災地の人たちは支えられています。
ある意味、生命保険は、我々と多くの経営者の「信用」と「絆」を
形にしたものともいえると思います。

大震災から3週間が過ぎた今、福島第一原発の問題、
ライフラインの復旧、沿岸部の被災状況の全貌解明など、
まだまだ、たくさんの課題を抱えていて、
復興の糸口さえ見えてきておりません。

しかし、必ず我々は復興しなければなりません。
なぜなら、それが、生きることが許されたものの使命だからです。

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「資産は津波で流されても、負債は津波でも流されない」
というタイトルに、同じ経営者として、どきっとするものを感じました。

椎木先生は、このような状況にありながらも、
FANアライアンス会員として経営者向けセミナーの開催にチャレンジするなど、
本当に頑張っておられます。
心から応援しています。

ひろせでした。

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PROFILE プロフィールPROFILE(プロフィール)

広瀬元義
株式会社アックスコンサルティング代表取締役。1988年 株式会社アックスコンサルティングを設立。不動産コンサルティング、会計事務所向けコンサルティングを中心に業務を展開。