私は巡回監査で頑張ります!!

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皆さん、こんにちは。
今日は、巡回監査のお話のパート2をします。

Vol.127の 『やっぱり、おかしい「巡回監査」』。

多くのメルマガ読者の方からご意見をいただきました。

1.まじめに巡回監査をやって、成果を出している事務所だってあるよ
2.こんな時期だからこそ、人と人との応対が必要なんじゃないの!?
3.私はTKCオンリーだから、TKCの批判をするならもう付き合えない!!

なかには、
「全TKCを敵に回すような書き方はしない方が良いよ」って
老婆心一杯で小声で耳打ちしてくれた某TKC有力先生。

「敵とか味方とかじゃなく…」って私は言いかけて、
相手の真剣さに黙ってしまいました…

なんだか、タイトルだけが独り歩きしたみたいな…。

「それでも、私は巡回監査で頑張ります!!」
ってメールを、親しいTKC会員のK先生からもいただきました。

クリーブランド大学で経営史を教えるロバート・ハートレーの
「失敗の3C」をご存じでしょうか？

『自己満足』『保守主義』『思い上がり』

この3つの英語の頭文字を取って、
ハートレーの3Cと名付けられたのですが、
そのうちのひとつ、『自己満足』に焦点を当ててお話しします。

自己満足というのは、本当に厄介なもので、
自己満足に陥っていることに気付くことは、極めて困難です。

自己満足に陥っている会社でも、社員は一生懸命働いています。
誰も手を抜く人はいませんし、サボっている人もいません。

ただ、努力の前提となる市場や競争の条件が
根本的に変わってしまっていた場合、
その根本的な変化を見つけなければ、
その努力が報われないばかりか、
逆効果になってしまうこともあります。

自己満足で一番怖いのは、
従来のやり方をまったく疑わない思考にあると、教授は言います。

そして、MITのレスター・サロー教授は、
根本的な変化のことを生物学の「断絶平衡」を借りて、
次のように説明します。

生物の世界も市場もゆるぎない構造に見えます。
しかし、この間にゆっくりと何かが変わっていき、
どこかの時点で、断絶平衡に入るといいます。

要するに、沸点のように、
ある日突然変化したように見えるときが来ます。
本当は、常に小さな変化を続けているのですが…

いずれにしても、このように
誰の目にも危機が明らかになったときには、
変革が、はるかに遅くなるというわけです。

まだ、会計業界は沸点に達してはいません。
しかし、大きな変化が確実にわかるようになってからでは、
遅いと思います。

で、冒頭の巡回監査。

巡回監査がダメ、と言っているのではありません。

巡回監査は、
中小企業の経営を助けるための手段であって、
巡回監査が目的であってはならないと思います。

このような時期だからこそ、あえて書きましたが、
これまでやってきたことを、疑ってみる。
一度ぶっ壊してみる。

それこそが、スクラップ・アンド・ビルド。

巡回監査を、完全にやめようと考えてみる。
そのあとに、
「中小企業の経営サポート」を実現するには、巡回監査しかないんだ!!
「だから、うちの会計事務所は、巡回監査をやるんだ」
という結論に達したなら、
前と違った、新しい視点の巡回監査が生まれると思います。

先に書いた、

『やっぱり、おかしい「巡回監査」』の本筋は
訪問するという原理原則を、
一度疑ってみるのも必要ではないですか…。

といった意味です。

「それでも、私は巡回監査で頑張る!!」
ってメールをいただいたK先生と電話でお話ししました。
K先生は、都内某所で50名以上の職員を抱えるTKC会員の先生です。

「広瀬さんさあ…あまり刺激的なことは、書かないで。
会計事務所は今大変なんだから…」
とK先生。

「なんだか、誤解や不快を与えたのなら、ごめんなさい」
と私。

「いやいや、謝れと言ってるわけじゃないんだけど。
広瀬さんの話、面白いし、メルマガも欠かさず読んでるから」

「ありがとうございます」

「ところで、広瀬さん。おたくの会社、どうなの??」
「どうなのって、何が??」
「おたくは、毎月税理士が訪問して、巡回監査をやっていないの…」

「え、うちは、もちろん毎月巡回監査受けて、助かってますよ!!」
「あ、そうなんだ…」と少し安心の声。

「会社ができたときから、24年間ずうっと巡回監査を受けていますよ。
だから税理士さんが毎月来なくなったら、
経理の人は困るんじゃないかな…」
と私が付け加えて言うと、

「なら、許すっ」
と言って、K先生は納得した様子で電話をお切りになりました。

どうもどうも、今週も巡回監査にあえて触れてみました。

人騒がせな、ひろせでした。

※本文中のハートレーの3Cについての記述は
　岡本正耿著「ビジネスマンのためのCS入門」より抜粋